FDA要求事項の本質は?
FDA QSRの要求事項の本質は、医療機器の安全性の確保と製品の品質確保にあります。 FDA査察官向け査察ガイド( QSIT )を見てみると、FDAが品質システムのどこに問題があるのかを知っていることがわかります。 同じような問題の発生がなぜ起こるのか? 度重なるリコールや有害事象報告( MDR )などが出されると、FDAはその企業に於いてCAPAが実施され、本質的な問題解決がされていないと判断します。 その判断は私達の経験からも正しく、ほぼ間違いなくCAPAがまともに運用されていません。 また、マネジメントはこのことに関して無関心です。 そして、よくよく調べていくと、設計時にまともな設計管理が行われていなかったことが判るのです。 そのため、QSITでは、マネジメント、CAPA,設計管理にフォーカスして査察するようになっています。
ISOの監査員は、システムが維持されているのかと問い、FDAの査察官は、なぜ品質不良が発生するのかと問います。
FDAはISO認証機関と異なり、米国民の命を守る行政です。 どうすれば不具合が発生しない医療機器が開発製造されるのかということに注目し、規制を補足説明するガイダンスを出して、こうすべきという指針を出しています。 このガイダンスにFDA要求事項、ひいては医療機器開発の本質を読み取ることができます。
FDAがCAPAに重点を置く理由は?
FDAは、品質改善のよいツールとしてCAPAを重要視しています。 うまく運用することで、根本原因を正しく導き出し、効果的な是正ができるからです。 しかし、FDAはこう明言しています。「 CAPAを理解している企業は少なく、その効果もない。 」 FDAは、CAPAを見ることで会社のさまざまな状態を理解できることを知っています。 マネジメントが製品品質に関する情報についてどう対応しているのか、CAPAを用いて効果的な改善ができているのか、こういった情報が次の製品のリスクとしてインプットされているのか、そもそも報告すべき不具合報告( MDR )は報告されているのか、等々。。。しかし、例外なく日本の企業のCAPAを理解しておらず、CAとPAの違いすら理解していません。マネジメントが関与していないのは当然のこと。これでは品質改善などほど遠く、FDAがCAPAを重視して査察を行うのも頷けます。
現状のISOとの差分だけでは。。
そもそも規制だから、ISOを取っていないとビジネスができないから、という動機で品質システムを運用している会社にとって、その本質を理解していないので、さらに重いFDAの要求事項を現在の手順に加えるだけになり、ますます企業にとってまさに負荷が掛かるだけのお荷物となってしまいます。 そして、品質不良が社会的な問題になると、大きな企業でさえ撤退や倒産を免れなくなるのは既成の事実です。 FDA QSR要求の本質を正しく理解する。。 それは、製品品質に対して会社のマインドを変え、会社のリスクをヘッジする絶好のチャンスとも言えます。
クオリス・イノーバは、会社のマインドを変え、”どうせやるなら会社にとってプラスになるシステム作り” をお手伝いします。 また、クオリス・イノーバのセミナーでは、QSITやガイダンスを用いたセミナーを、全世界に100以上の工場を持つGEヘルスケアでFDA対応コーポレートオーディットスタッフとして豊富な企業監査経験とGEシックスシグマブラックベルトとして多くの改善経験を行ってきた実績で、FDA規制要求事項の本質と医療機器開発の本質についてお伝えしています。