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「 日経ものづくり雑誌ブログ 」で紹介 2011/09

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『 日経ものづくり 』雑誌ブログ 2011/09/15 より
 

 『日経ものづくり』には、10年以上にわたって続いてきた「事故は語る」というコラムがあります。このコラムでは、製品や機械設備で起きた事故を取り上げているのですが、取材や執筆をしているときに「なぜ、その設計にしてしまったのか」と思わされることが多々あります。

 そうした印象を最も多く抱くのは、「実績のある方式や仕様を流用した」事例です。恐らく、新しい技術に挑む場合はリスクを慎重に検討しているのでしょう。「なぜ」と思わされる事故をよくよく調べてみると、実は過去のやり方をそのまま適用しているケースが少なくないのです。

 品質に最も影響を及ぼすのは「変化」だと言われます。設計ミスや不良品があった場合は「4M」(Man、Machine、Material、Method)の変化を疑うのが原則とされています。しかし、設計に関していえば、変化することを嫌って既存のやり方を疑うことなく採用し、水面下で生じているリスクを見逃してしまうという一面があるのではないかと思っています。

 そのようなことを感じていたため、医療機器開発のコンサルティングを手掛けるクオリス・イノーバ代表の木村浩実氏から「トレーサビリティー」と「設計根拠」の重要性を伺ったとき、これは製造業全般に当てはまることだと直感しました。

 トレーサビリティーは主に流通分野で使われている言葉ですが、この場合は開発プロセスにおける追跡可能性を指します。すなわち、設計の最終成果物である「仕様」は、それを決定するに至った根拠(設計根拠)や計測手法、合否判定基準などが後から追跡可能な形で記録されていなければならないという考え方です。医療機器の場合は、行政機関の監査があるため、第三者が開発プロセスを追跡できるようにしておく必要があるのです。

 こうした考え方を徹底すれば、過去の方式や仕様を漠然と流用することによって事故を引き起こすという事態は、かなり減らせるのではないかと思っています。実際に第三者の監査があるかどうかは別にして、第三者の目を意識することにより、きちんとした根拠に基づいて仕様を決めることになるからです。